2003年にヒトのゲノム解析が終了し、ポストゲノム時代に突入した現在、我々が研究対象としておりますトランスポーターは、ヒトのABCファミリーで
48、SLCファミリーで360を数えるに至りました。日本は世界の中でもトランスポーターの研究者人口が少なくはないと思われますが、医学系、薬学系、理学系、農学系、栄養学系の研究者がそれぞれの分野で、それぞれのトランスポーターを対象に、言わば独立して研究を進めているのが現状ではないかと思われます。その分子の存在自体が明らかになったのが最近であることもございますが、現在薬物動態学の分野を除いた他の多くの分野におきましては、トランスポーター研究の各分野における認知度は低く、多くの学会においてはトランスポーターのセッションすら存在しない状況が続いております。輸送基質の違いはあれ、トランスポーターとして共通の構造上および機能上の特性を持つと考えられることから、同じトランスポーター(ABC,
SLC)を研究する者同士が、分野を越えて集い、情報を交換し交流する機会を持てないものかと考えておりました。
今後多くの分野でトランスポーターの研究が盛んになってゆくものと期待されますが、これを機会にトランスポーターの「分子複合体」研究というテーマに留まらず、「病態・疾患における役割」などを含め広くトランスポーター研究を議論し、自分たちの研究を紹介する場を、できれば定期的に設ける必要性があるのではないかと強く認識するに至りました。
そこで
1.「トランスポーター学」と呼べる研究領域の確立
2.トランスポーター研究に関する情報交換、新たな研究方法の開発導入および研究分野の拡大
の2点を主たる目的とし、助教授以下の(主として)若手トランスポーター研究者により運営される「トランスポーター研究会」の設立を思い立ちました。
何卒上記の趣旨をご理解頂き、研究会への参加という形でご協力頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。